“若手不要”?「2年経験あり」が求められるエントリーポジションの矛盾 / The Paradox of 2 Years Required for Entry Roles:「アメリカ人事界隈」#アメリカHR #HRLinqs #HRLinqsLearning
- 榊原 将/HR Linqs, Inc.
- 2月26日
- 読了時間: 5分
エントリーレベルとされる求人にさえ「2~3年の経験」が求められ、若手の就業機会が狭まっています(The Paradox of 2 Years Required for Entry Roles)。
Gen Zは流動的な働き方を好み、協働や創造力に強みを持つ一方で、「勤勉さに欠ける」と誤解されがちです。
2030年には労働人口の30%を占めると予測される若手人材を活かすには、企業が年齢ではなくポテンシャルを重視し、中間管理職の指導やオフィス交流を通じて育成する体制が急務となっています。
「主要な点」
エントリーレベル求人の“経験”要件増加:実務未経験で応募可能なはずのエントリーポジションですら、2年以上の職歴を要求する案件が増加しています。人員削減後の再募集やスキル偏重の風潮が背景にあります。
採用市場の“逆風”と余剰人材:テック大手や連邦政府のレイオフにより、市場には経験豊富な“余剰人材”が溢れているため、企業が若手より即戦力を優先する傾向が強まっています。
ミレニアル管理職の減少(Great Flattening):フラット化が進み、中間管理職のポジションが削減されている背景もあります。一方で若手社員を指導・育成できる存在が少なくなり、新入社員が自己流で仕事を覚えざるを得ない環境になっています。
“ヤングイズム”とジェネレーションギャップ:Gen Zを「面倒くさそう」「すぐ転職する」「モラルが低い」などと決めつける風潮が広まり、採用・評価の場面で固定観念やバイアスが発生しているのも事実です。
流動的キャリア観の若者たち:学生時代から副業や起業を経験するGen Zは、伝統的なキャリアパスに魅力を感じにくく、ロイヤルティ獲得の難易度が高い半面、柔軟性が高い職場で成果を出しやすいという調査結果もあります。
協働精神と多様性への適応力:Gen ZはSNSやゲームなどを通じ、多人数でのコラボレーションに慣れています。
オフィス出社がもたらすメリット:オンラインツールでは得られない“雑談”や“偶然の出会い”が、若手の視野拡大や社内ネットワーキングに寄与しています。実務経験不足を補う学びの機会になります。
リーダーシップの役割:若手の意欲を引き出し、効果的に育成するには、管理職や上司の指導スキルとコミュニケーション力が不可欠です。トップダウンではなく、相互学習の姿勢が求められます。
企業文化と柔軟なキャリア支援:優秀な若者を惹きつけるには、ジョブローテーションやスキルアップ研修、副業容認など、キャリアの幅を広げられる制度設計が必要です。
若手を拒むリスク:将来の組織存続に影響:2030年には、Gen Zが労働人口の30%を占める見通しです。若手を採用・育成しない企業は、中長期的に競争力を失う可能性が高いです。
「企業の検討点」
エントリーレベル職の要件見直し:不要な“経験年数”条件を緩和し、ポテンシャル重視の採用基準へシフト。
中間管理職の育成とリーダーシップ強化:“育成する側”が減った状況下で、コーチングスキルやメンター制度を整備する。
世代間コミュニケーションの最適化:ヤングイズム・オールドイズムを回避するための社内セミナーやワークショップを開催し、相互理解を促進。
柔軟な働き方とオフィス交流の両立:リモートと出社を融合し、若手がベテラン社員と直接学べる環境を意図的に設計。
多様なキャリアパスの実装:副業許可、社内起業プログラムなどで、若手が組織内外で成長できる仕組みを導入。
「Q&A」
Q1: エントリーレベルの求人要件を緩和すると、採用の質が下がりませんか?
A1: ポテンシャル重視の評価基準を導入し、面接やアセスメントで学習能力やコミュニケーション力を見極めれば、むしろ将来性の高い人材を確保しやすくなります。
Q2: 若手が短期間で転職するリスクを抑える方法は?
A2: 明確なキャリアパスや学習機会、柔軟な働き方などを整備し、本人が成長を実感できる環境を作ることで、ロイヤルティを高められます。
Q3: オフィスに来させる意義は何でしょうか?
A3: 雑談や偶然の対話から生まれる学習機会、ベテラン社員からのアドバイス、企業文化への理解など、リモートでは補いにくい要素があります。
Q4: ジェネレーションギャップを解消する施策はありますか?
A4: 相互学習の場を設ける(ランチミーティング、プロジェクトチーム混在など)、相手世代を理解する研修を実施するなど、日常的にコミュニケーションを促す工夫が効果的です。
Q5: 経験豊富な“余剰人材”がいるなら、なぜ若手を採用する必要があるのですか?
A5: 今後労働市場の中心となる若手のポテンシャルを軽視すると、中長期的なイノベーションや組織の活力が不足し、結果的に企業競争力が落ちてしまいます。
Q6: なぜ“2~3年の経験”がエントリーレベルで求められるのでしょうか?
A6: レイオフ後に市場に出た経験者の数が増え、企業が即戦力重視に傾いた結果、エントリーポジションでもある程度の実務経験を要求するようになったと考えられます。
Q7: “ヤングイズム”とは具体的にどのようなイメージがあるのですか?
A7: 「甘えている」「簡単に辞める」「礼儀や忍耐力が足りない」といった先入観で判断されるケースを指し、実際の能力やモチベーションを正しく評価できないまま排除されてしまうリスクがあります。

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