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場所よりプロセスがカギ?ハイブリッド時代の組織改革 / Rethinking Work Processes in the Hybrid Era:「アメリカ人事界隈」#アメリカHR #HRLinqs #HRLinqsLearning

執筆者の写真: 榊原 将/HR Linqs, Inc.榊原 将/HR Linqs, Inc.

リモートやハイブリッド勤務から完全出社まで、多様な働き方が増える一方で、McKinseyの最新調査は「どこで働くか」よりも「どのように働くか」が従業員満足度や生産性に直結していると示唆しています(Rethinking Work Processes in the Hybrid Era)。


39%の離職意向や3割を超えるバーンアウト率に共通する課題は、労働環境やリーダーシップの成熟度不足であり、RTO(Return To Office)の徹底だけでは組織のパフォーマンスは向上しないことが明らかになっています。


「主要な点」

  1. 調査規模と背景:McKinseyが2024年10月に、アメリカの15業界を対象に8,426人の従業員と3,531人の経営層を調査。フルリモート、ハイブリッド、フル出社のすべてを網羅し、最新の働き方トレンドを深掘りしている。

  2. RTOの増加と効果の疑問:2023年からRTO率は約34%から68%に倍増。にもかかわらず、組織の効果や従業員満足度が劇的には改善しておらず、「出社すれば解決」という神話が崩れつつある。

  3. 39%の離職意向と若年層の動向:離職を考える従業員は依然として高水準で、特にGen Zのオンサイト勤務・フルリモート勤務者に離職意向が強い。柔軟性だけでなく、キャリア成長やメンタルサポートの不備が影響していると推察される。

  4. バーンアウトの深刻度:全体の約3割がバーンアウトを訴えており、オンサイトやフルリモートでの割合が若干高い。ハイブリッドは28%と相対的には低いが、仕事の進め方や組織体制が不十分であれば大差は生まれにくい。

  5. 従業員満足度の横並び:リモート・ハイブリッド・オンサイトのいずれも満足度に大きな差が見られず、勤務形態よりも“仕事の質”が重要な要因になっている。

  6. リーダーと従業員の認識ギャップ:経営陣の約90%が「自社の連携やイノベーションは成熟している」と回答する一方、従業員の評価はこれを大きく下回る。トップダウン中心の施策では埋めがたい溝が生まれている。

  7. 5つの重要プラクティス

    • コラボレーション:物理的な集まりよりも、明確な目的設定やゴール整合が鍵。

    • コネクティビティ:リーダーと社員の対話が不足しがちで、特に遠隔勤務者ほど孤立のリスクがある。

    • イノベーション:職場モデル問わず、知識共有や高速試行、失敗を許容する文化が必要。

    • メンターシップ:正式・非公式の両面が必要で、オンサイト派は直接指導を期待する傾向。

    • スキル開発:形式的な研修だけでなく、継続的な学習文化とデジタルスキル強化が不可欠。

  8. 過去のMcKinsey調査との連動:2021年から続く「Great Resignation」「Flexible Workへの期待」「社員エンゲージメント低下」などの報告が一貫しており、短期的施策だけでは根本的な解決にならないことが示されている。

  9. 権力バランスと責任:労働市場の冷え込みで企業側が強硬にRTOを推し進める状況もあるが、従業員は「選択と柔軟性」を常に意識するようになった。権限がトップに戻るほど、リーダーには責任ある行動が求められる。

  10. 今後の展望:オペレーティングモデルの再考:出社の強制ではなく、どのように働くかを最適化する仕組み(チームごとのガイドライン、リーダーのロールモデル、成果での評価)がますます重要になる。新しい時代は「場所」よりも「やり方」への投資が組織の競争力を左右すると見られている。


「企業の検討点」

  1. RTOの本質を見極める:出社義務を増やすだけでなく、現場の声を聞きながら仕事のプロセスと環境を改善する。

  2. バーンアウト対策の優先度を上げる:メンタルヘルスプログラムや業務負荷の再調整、定期的な1on1で従業員のストレスを軽減する。

  3. リーダーと従業員の認識差を測る:定量・定性調査を実施し、トップが思う課題と社員が感じる課題の差を明確化してギャップを埋める。

  4. コラボレーションの仕組みを再設計:フル出社でもリモートでも、チームが共通ゴールを共有し、情報をオープンにやり取りできる体制を強化する。

  5. スキル開発とキャリア支援に投資:やりがいを高めるために研修だけでなく、ジョブローテーションやデジタルスキル教育を推進する。


「Q&A」

Q1: テレワークやハイブリッド勤務を評価する上で重要な指標は何ですか?

A1: 物理的な勤務日数ではなく、成果や目標達成度、チームの連携度合いなど、定量・定性両面を組み合わせた指標が重要です。


Q2: 従業員エンゲージメントを高める手法にはどのようなものがありますか?

A2: 意味のある目標設定、適切なフィードバック、キャリアパスの明確化やメンタルヘルスサポートなどが効果的です。


Q3: RTOを進める企業が増えている理由は?

A3: 社内文化の維持やイノベーションの促進を期待している一方、実際はオフィス出社そのものが必ずしもその目的を達成するわけではないというデータが出ています。


Q4: 新しい働き方を導入する際、最初に取り組むべきことは?

A4: 組織の現状を把握するためにアンケートやフォーカスグループを行い、最優先課題を明確にし、全社的ビジョンを設定することです。


Q5: 業務生産性と柔軟性を両立させるには?

A5: ガイドラインやツールの整備、コミュニケーションルールの設定、リーダーのロールモデルを示すなど、従業員が自由に働きつつも成果を出しやすい仕組みが必要です。


Q6: McKinseyの調査によると、RTOが直接的に組織効果を高めないのはなぜですか?A6: リモート、ハイブリッド、オンサイトいずれの働き方でも満足度に大差がないためであり、根本原因は「仕事の質」や「リーダーシップ不足」にあると指摘されています。


Q7: なぜGen Zはオンサイトやフルリモートだと離職を考えやすいのですか?

A7: 柔軟な働き方やキャリア成長機会、メンターシップを求める一方で、フル出社や完全リモートではそれらのニーズが満たされにくいケースがあるためです。


Q8: 経営陣が従業員と認識をすり合わせるにはどうすればいいですか?

A8: 意思疎通を密にするために、双方向のコミュニケーションや透明な情報共有が不可欠。加えて、従業員のフィードバックを活かした施策を素早く実行し、定期的に効果を検証することが重要です。


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