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CEOが語る「責任」とは?シェブロン大量解雇で問われるリーダーシップ / Accountability in Action:「アメリカ人事界隈」#アメリカHR #HRLinqs #HRLinqsLearning

  • 執筆者の写真: 榊原 将/HR Linqs, Inc.
    榊原 将/HR Linqs, Inc.
  • 2月24日
  • 読了時間: 4分

Chevronが世界全体で2割(約8,000人)の大規模リストラを実施する計画を発表しました(Accountability in Action)。


原油価格の相対的安定と依然高い収益にもかかわらず、ExxonやCNOOCとの競争や買収案件の法廷闘争など、業界再編を迫られる背景があります。


CEOが「経営陣も責任を取る」と述べる一方、過去のリストラを繰り返す企業風土への不信感が従業員の間で募っており、石油企業の将来やリーダーシップの在り方が改めて問われています。


「主要な点」

  1. リストラ規模と背景:約8,000人(全従業員の20%)が対象となる今回のレイオフは、原油価格が70~80ドルと比較的安定する中での実施となります。過去18ヶ月の経営成績や競合状況を踏まえた苦渋の決断のようです。

  2. 収益減でもなお大きい利益:2024年のシェブロンの利益は183億ドルで、前年2023年の247億ドルより縮小しました。とはいえ、依然として多額の利益を計上しているため、社員からは「なぜ今リストラ?」という疑問の声があがっています。

  3. 買収案件の停滞と競合他社の圧力:大型投資の見直しを迫られる中でのコスト削減策とも言えます。

  4. CEOの責任表明:タウンホールで、CEO Mike Wirthが「リーダーシップが行動と透明性を持って責任を果たす」と述べましたが、従業員はこれまでも幾度も「最後のリストラ」と言われてきた経験があり、本当に信頼が回復するのかが課題です。

  5. 再編理由:組織の複雑化とコスト上昇:内部資料によると、Chevronは近年の繁栄期に組織が肥大化しているようです。プロセスが複雑化し、コストが増加した結果、競合他社に比べ迅速な意思決定が難しくなっていることも大きな原因のようです。

  6. 従業員の反応:「いつもこのパターンだ」「他のメジャー石油企業が先に行っていたのだから、遅かれ早かれこうなるのはわかっていた」との声もあり、必要性は理解しながらも苛立ちや不安が大きいです。

  7. 業界全体のリストラ潮流:Shellが石油・ガス事業の人員を20%削減、BPも約4,700人のレイオフを発表するなど、石油メジャーがこぞって合理化に動いています。コロナ禍の影響から回復した後も、EV普及など将来需要に不安が付きまとっています。

  8. コロナ禍のリストラとの比較:従業員によれば、パンデミック時のリストラは石油価格暴落が直接原因でしたが、今回は市場価格が安定している中でのレイオフです。

  9. 今後のシナリオ:従業員の士気低下や優秀人材の流出が懸念される一方、CEOが述べるとおり「複雑化の解消」と「意思決定の迅速化」が果たせれば、長期的に組織体質が強化される可能性も残ります。


「企業の検討点」

  1. 大型買収リスクと資金繰り:買収が停滞する場合の投資回収計画やキャッシュフローへの影響を常に再評価し、早期に方針を柔軟に調整。

  2. 従業員コミュニケーションと信頼回復:リストラの背景や経営陣の責任を明確に伝え、再編後のビジョンやキャリアパスを示すことで不安を軽減。

  3. 組織のスリム化と意思決定プロセスの整備:重複する部署や冗長なプロセスを廃止し、必要な決裁権限を明確化することで競争力を維持。

  4. 再発防止策と従業員エンゲージメント強化:今回のリストラが「最後」と言えるよう、人材育成・評価制度のアップデートや新技術投資で従業員のモチベーションを高める。


「Q&A」

Q1: 大規模リストラを実施する際、企業が注意すべきことは?

A1: 公平かつ透明性のある基準を設定し、コミュニケーションを徹底することで、社員の混乱や不信を最小限に抑える必要があります。


Q2: コロナ禍以降、石油業界のリストラが続く主な理由は?

A2: 石油価格の変動や将来的な需要予測の不確実性、再生可能エネルギーへの転換圧力などが主因です。


Q3: リストラ後の従業員モチベーションを高める方策は?

A3: 経営ビジョンの共有や、残留社員への明確なキャリア開発サポート、報酬・評価制度の整備が効果的です。


Q4: 合併・買収停滞が人材施策に与える影響は?

A4: 投資計画や組織再編の進行が不透明となり、従業員が将来に不安を抱くため、早期にリスクを共有・対処すべきです。


Q5: リストラによる優秀人材の流出を防ぐには?

A5: ハイパフォーマーとの個別面談やインセンティブ制度の見直し、キャリアパスの提示など、個別対応が効果を発揮します。


Q6: なぜChevronは利益がまだあるにもかかわらずリストラを実施するのでしょうか?A6: 過去18ヶ月のコスト上昇と組織複雑化、そして買収案件の停滞による将来的リスクの高まりが背景にあり、今のうちにスリム化を図る狙いがあるとされています。


Q7: CEO Mike Wirthが強調する“accountability”とは何ですか?

A7: 経営陣や管理職も含め、それぞれの役割と決定権を明確にし、目標未達や問題発生時に明確な責任を負う体制を構築することを指しています。



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