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  • 執筆者の写真榊原 将/HR Linqs, Inc.

過去の逮捕歴を持つ人材の公平な評価を目指して / LA County‘s New Fair Chance Hiring Ordinance:「アメリカ人事を図と表で(仮)」#アメリカHR

ロサンゼルス郡の新しい"Fair Chance"雇用条例は、過去の逮捕歴や有罪判決を理由に応募者を排除することを制限し、公平な雇用機会を推進することを目的としています。


この包括的な条例は、連邦法や州法を上回る保護措置を講じており、採用プロセスにおける透明性と公平性を確保するための具体的な手順を定めています。


「主要な点」

  1. 対象となる事業者と適用範囲の広さ:新条例はロサンゼルス郡の非市町村地域で事業を行うすべての5人以上の従業員を雇用する事業者に適用されます。これには一時的な雇用や職業紹介会社、非営利団体なども含まれます。さらに、この条例はリモートワークや委託業務など、県内の非市町村地域で行われるあらゆる種類の雇用に幅広く適用されることになります。

  2. 採用広告における公平性の明示:すべての求人広告や案内には、「有罪歴のある応募者も法律に従って公平に検討される」旨の文言を盛り込む必要があります。さらに、事業者が法的に拘束される雇用制限要件があれば、それも明示しなければなりません。条例違反になる「犯罪歴のある者は不可」などの表現は避けなければなりません。

  3. 優先資格審査と条件付き雇用の要件:雇用主は、条件付き雇用オファーを行った後でなければ、応募者の犯罪歴に関する質問や背景調査を行うことはできません。そして背景調査をする場合は、その「正当な理由」を詳細に説明した書面通知を応募者に提供しなければなりません。

  4. 個別評価と予備通知の義務づけ:雇用を拒否しようとする場合、雇用主は応募者の犯罪歴について、拒否理由を具体的に説明した書面による「個別評価」を行わなければなりません。そして予備的な不利益通知とともに、その評価書と背景調査報告書のコピーを応募者に提供し、応答する機会を与えなくてはいけません。

  5. 応募者の追加情報に基づく再評価:応募者から予備通知に対する追加情報が提出された場合、雇用主はその情報も考慮に入れた上で、書面による再評価を行わなければなりません。

  6. 最終決定と異議申立ての権利の通知:雇用を最終的に拒否する場合、雇用主は応募者に対して、再評価書のコピーを含む最終通知を行い、異議申立てと再検討の機会を設けなければなりません。

  7. 雇用主の記録保持義務:この条例では、雇用主に対し、応募関連書類を受領後最低4年間保存することが義務付けられています。

  8. ウェブサイトと現場での条例の公示:雇用主はウェブサイトと現場で、この新条例の内容を応募者や従業員が確認できるよう掲示しなければなりません。県は掲示用の様式を作成する予定です。

  9. 適切な評価と法令遵守の重要性:この新条例は、応募者の過去の逮捕歴や有罪判決を根拠に一方的な採用排除を防ぎ、公平な評価を行うことを求めています。雇用主は法的義務を理解し、応募者の経歴を適切に個別評価する必要があります。これにより、多様な人材の確保と公正な雇用慣行が促進されることが期待されています。


「企業の検討点」

  1. 広範な対象範囲への対応:5人以上の従業員を雇う全ての事業者、さらには委託業務やリモートワークなども条例の対象となることから、該当する企業はこの新条例の適用範囲を正確に理解し、対応を検討する必要があります。

  2. 求人広告の表現と法令遵守:求人広告では、条例が定める一定の表現規制に従う必要があります。法的な雇用制限要件がある場合はそれを明示するなど、規定に沿った適切な記載が求められます。

  3. 採用プロセスの見直しと手順の整備:条件付き雇用の前に応募者の犯罪歴を問うことが禁止されているため、企業は採用プロセスを見直し、条例の手順に沿った対応が可能になるよう整備する必要があります。

  4. 書面による適切な評価と通知の実施:応募者の犯罪歴に関する個別評価は書面で行い、予備通知や最終通知なども適切に実施しなければなりません。企業はこの評価プロセスを適切に実行できる体制を整備する必要があります。

  5. 記録保持と従業員研修の必要性:応募関連書類の4年間保持が義務付けられていることから、企業は記録管理体制を整備する必要があります。あわせて、人事担当者に対する条例の内容と手順に関する十分な研修も欠かせません。


「Q&A」

Q1: この条例はどのような業種・規模の企業に適用されるのでしょうか? A1: 5人以上の従業員を雇用するすべての事業者が対象となり、業種を問わず幅広く適用されます。一時的な雇用や職業紹介会社、非営利団体にも及びます。


Q2: 採用時に応募者の犯罪歴を質問してはいけないのでしょうか? A2: はい、そのとおりです。条件付き雇用の提示前に、直接応募者に犯罪歴を質問することは認められていません。雇用主が背景調査をするのは条件付き雇用後に限られます。


Q3: 応募者の犯罪歴で雇用を拒否することはできないのでしょうか? A3: 拒否することはできますが、雇用主は応募者の犯罪歴について書面による詳細な個別評価を行い、予備通知や再評価の機会を設ける必要があります。単に犯罪歴があるからといって一方的に排除してはいけません。


Q4: 企業側でどのような対応が求められるのでしょうか? A4: 主な対応としては、採用プロセスの見直し、評価手順の整備、記録保持体制の構築、従業員研修の実施などが挙げられます。条例を理解し、適切に実行できる体制を整える必要があります。



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