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執筆者の写真榊原 将/HR Linqs, Inc.

2021年度の昇給率

2020年は、3月中旬以降、COVID-19の影響により各州でSafer at Homeが発令されたことから、米国にとって経済的打撃の非常に大きい年となった。

失業者数、失業保険申請者数、失業率等を見ると、2007年のサブプライム住宅ローン危機を発端とした世界金融危機よりはるかに大きな影響を受けたことがわかる。また、1920年代の大恐慌以来実施されている各種調査、統計結果からも、今現在、経済的にいかに厳しい状況にあるかということが判断できる。

COVID-19や先週行われた大統領選以外にも、BLM運動、CA州では山火事等、数年に一度あるかないかという社会的な出来事が一気に起こった年となった。

COVID-19以前(3月まで)と現状の比較について以下の表にまとめた。

また、労働環境においては、3月以降「在宅勤務」へのシフトという大きな変化も起きた。

過去10数年にわたり3.0%前後を保ってきている昇給率は、2021年度にはどのような数値となるのか。

WorldatWork社が1,500社弱を対象とした調査によると、2020年はCOVID-19の影響により、Salary Budget(給与予算)に大きな変化が見られた。2008年以来12年振りにSalary Budget(給与予算)の増加額が年初の予定額から減少したためである。

2020年初頭の調査では3.3%の昇給率であったのが、2021年の昇給率は2.9%になるとの発表を行っており、0.4ポイントの減少となった。

昇給率を下方修正した企業が増えていることに加え、昇給自体を見合わせる決定をした企業も相当数の増加がみられた。昇給を停止する企業は昨年対比では10倍になるという調査結果もある。

他方でWillis Towers Watson社が1,100社を対象とした調査によると、昨年の調査で14%の企業が昇給停止を行ったのに対して、2021年には7%と半分になっており、また、昇給率は2.6%という調査結果となっている。(WorldatWork社とは異なる結果である。)

Salary.comでの昇給率も2.6%となっている。

これらの昇給率を踏まえると、COVID-19禍の中でも、何かしらの昇給を検討している企業が少なからずあることがわかる。

昇給率を検討する上で、各階層によってのVariationという考えがある。Variationとは①非管理職(Exempt/Non-Exempt)、②管理職、③エグゼクティブレベルで設ける昇給率の差のことを意味する。WorldatWork社の調査結果によると2021年の昇給率にはほぼVariationでの相違が無いことから、従業員の階層に関わらず2.6%から2.9%が全米での平均的な昇給率と考えて良いであろう。

昇給率とは異なるが、現状雇用マーケットで最も需要の多いポジションは以下となる。

◦ Data Scientist

◦ IT/Cyber Security

◦ AI/Machine Learning

◦ Data Engineer

◦ Application Developer

米国での学位別新規雇用者の2020年の平均給与額も、Empsight Policies, Practices & Merit Report 2020から発表されている。

◦ ドクター(Ph.D.): $98,914

◦ MBA以外のマスター:$79,801

◦ MBA: $86,500

◦ MBA(成績優秀者): $103,000

◦ バッチェラー(技術職):$71,000

◦ バッチェラー(技術職以外):$60,000

2020年は新規雇用者の平均給与も昨年と比べ減少傾向となっている。

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