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米国の失業率の推移と、企業の今後の対応:ファーローからレイオフの留意点

【米国の失業率推移】

去る5月8日に発表された失業率は14.7%であり、この数値はBureau of Labor Statistics(BLS: 労働省労働当局)が1948年に開始した月次失業率統計において史上最も高い数値であった。参考までに、リーマン・ブラザーズの破綻に端を発した金融危機時のピーク値(失業率)は2009年10月の10%であった。

失業率に先駆けてAutomatic Data Processing(ADP: 給与計算会社)が発表した民間企業の雇用者統計でも4月は約2,020万人減と史上最大の減員となっている。この数値は2008年の金融危機以降10年強で増加した約2,280万人分の雇用がこの2か月で失われたことを意味する。

失業率のインパクトが大きく、あまり注目をされていないがBureau of Labor Statistics(BLS: 労働省労働当局)の発表によると、4月の平均時給が前月比4.7%増の$30.01となった。通常の上昇率は毎月0.5%前後で推移していることから考えると、この4.7%がどれほどの大幅増かがわかる。同数値からCOVID-19で最も影響を受けたのは低賃金の労働者で、多くの職(雇用)が失われたことから、高賃金の労働者によって平均時給が押し上げられていることが見て取れる。

未だに先行き不透明な部分も多いが、特定の州では経済活動が再開されており、今後、企業は安全に経済活動を再開する方法に焦点をあて対応を検討することが考えられる。

徐々に経済活動が再開されるにつれ、希望的観測ではあるが、失業率が4月をピークに僅かずつながら改善してゆくことも考えられる。

3月15日の週以降、未だに高水準で推移している失業保険申請数も、3月22日の週をピークに毎週減少傾向にある。また4月に雇用を失った2,020万人のうち78%がファーロー中であり、今後の経済次第では再雇用される状態であることも失業率改善が予想される要因の一つである。

【ファーローからレイオフ:留意点】

ファーロー終了時の再雇用は約束されているものではなく、企業の経営状況次第では結果としてレイオフに転じる場合もある。ファーローとレイオフは以前のブログ「ファーローとレイオフの留意点」を参照いただきたい。

ファーローは「一時帰休」と訳されるように、健康保険等、特定のベネフィットが継続された休職状態である場合が多い。事前に期間を決めて実施する企業が一般的であるが、期間を決めずに必要とあれば従業員を呼び戻す対応をとる企業もある。

ファーローについて法的に定められた実施期間はないものの、通念としては短期間の帰休(休職)であり、長期休職を見据えた対応策ではない。ファーローとして開始したものの、方針の変更などから休職の長期化が見込まれる場合、企業としては適切かつ迅速な対応を取るべきである。

また、ファーローを実施する際に重要な点は、「一時帰休」であるものの再雇用できない場合もあると事前に明確に伝えることである。併せて、ファーロー中もAt-Will雇用であり、いついかなる時も企業・従業員双方から理由の有無に関わらず雇用関係を終了できると伝えることが望ましい。再雇用の確約はないと事前に伝えることで、ファーロー中の従業員をレイオフする際の対応が円滑になると考えられる。

ファーロー中に健康保険を継続している場合は、健康保険の終了日を事前に確認しておくことも必要である。雇用関係を終了した月末まで継続する場合と雇用最終日に解約される場合の2種類がありうる。

事前に期間を決めて行うファーローの場合、ファーロー終了後の再雇用が確約されない点に加え、状況によってはファーロー期間が短縮もしくは延長される場合があると伝えることが望ましい。特にPaycheck Protection Program (PPP)を含む融資プログラム審査中の企業は、融資の許可もしくは融資により資金が確保された時点で再雇用の判断を行う場合も多く、再雇用時期を事前に確約を出来ないこともありうる。

どの様な場合であっても、企業としては対応の変更が生じる際は、出来るだけ早くに従業員への通達を行うことが望ましい。

また州によっては、10日間以上のファーローは、レイオフや解雇と同等にみなされ、有給休暇を含む最終給与の即時支払い対象となる場合がある。よって、最終給与はファーロー開始前に支払うことが推奨される。

ファーロー中の全従業員を一律に再雇用が出来ない場合も考えられる。再雇用する従業員を選定する上で従業員個人の資質や状況ではなく、企業のビジネスニーズに基づいて公平な人選を心がけることで差別の問題を避けることが可能になる。

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