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  • 執筆者の写真榊原 将/HR Linqs, Inc.

NY市のJust-Cause Protection Law

米国での一般的な雇用形態は「At-Will(任意雇用)」であり、これはいついかなる場合でも理由の有無に関わらず退職することも解雇をすることも可能な雇用形態である。

多くの州では解雇は繊細な問題であるため、企業は様々な観点から解雇の妥当性を検証する必要が有り、また解雇が訴訟につながるリスクを完全に無くすことは不可能とも言える。


このようなAt-Will雇用が一般的に行われている中、ニューヨーク市ではこのAt-Willを背景とした解雇が禁止される法律が7月5日から施行される。


Just-Cause Protectionと呼ばれる法律で、ファーストフード店で業務を行う従業員に適用される。


Just-Causeとは「正当な理由」という意味で、ニューヨーク市内のファーストフード店での解雇には今後正当な理由が必要となる(理由の無い解雇をすることが不可となる)。


Just-Causeの定義は以下となっている。


「The fast-food employee’s failure to satisfactorily perform job duties or misconduct that is demonstrably and materially harmful to the fast food employer’s legitimate business interests(ファーストフードでの業務に従事している従業員が職務を満足に遂行出来なかった場合、または雇用者の正当なビジネス上の利益を損ねる不正行為が行われた場合)」


雇用主は解雇理由が正当なものかどうか、以下の点を調査した上で正当性を確認して、解雇対象者に提示をする必要がある。

  • 従業員が解雇の根拠となる雇用者のポリシーや慣行を知っていたか、または知っているべきであったか

  • 雇用主が業務に関連のある適切なトレーニングを提供したか

  • 解雇理由となる根拠が合理的であり、一貫して適用されていたか

  • 雇用主が職務遂行や不正行為について公正かつ客観的な調査を行ったか

企業が解雇を検討する際に行うべき調査を法律化することで、特に「正当な理由の無い解雇」が横行していたファーストフード店における不当解雇を減らすことを目指す。


別の調査によると、47%の米国の労働者が「正当な理由が無く解雇された経験がある」という結果も発表もされている。


まだ一部地域の一部業界の法律であるものの、At-Willという雇用形態を今一度考える一つのきっかけとなる。

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