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日米の履歴書の違い

  • 執筆者の写真: 榊原 将/HR Linqs, Inc.
    榊原 将/HR Linqs, Inc.
  • 2020年7月19日
  • 読了時間: 3分

更新日:2021年2月3日

日本の履歴書が変更される。

日本規格協会は、JIS規格の参考例として公表していた顔写真欄や性別欄のある履歴書を、7月9日付けで様式例から削除した。


JIS規格により履歴書の仕上げ寸法や紙の厚みなどが規定されており、日本規格協会はこれまで、JIS規格の内容説明の一環として履歴書の様式例を掲載していた。同様式例の削除はトランスジェンダーの当事者や支援者などからの要請を受けて行ったという背景がある。


ただし実際には市場にはまだ顔写真や性別欄のある履歴書が広く普及しており、また市販される履歴書の様式も販売元企業の裁量のため、顔写真欄や性別欄のない新様式が浸透するには時間がかかりそうである。


日本の履歴書には、顔写真、性別のみならず、年齢(生年月日)、家族構成(婚姻の有無、扶養家族の人数)、趣味など直接的に業務に関係のない項目が複数含まれている。また手書きをもって誠意を判断するという考えもある。


他方で、米国の履歴書には日本の履歴書に含まれるような業務と直接関係のない事項を記載することは一切無い。また学歴や職歴も新しい順に記載をすることが一般的であり、候補者が直近、どのような経験を積んでいるかを重要視する形となっている。


米国の履歴書に日本では一般的な顔写真、性別、年齢、家族構成といった個人的な情報を記載しない理由は、雇用機会均等法(Equal Employment Opportunity)において、業務と直接関係のない情報を採用判断基準にすることが禁止されているためである。同様の理由で採用決定を行うと差別として告発される可能性につながる。


日米の履歴書の違いは、ジョブ型、メンバーシップ型と呼ばれる日米における雇用の考え方の違いにも関係している。


日本の雇用の考え方はメンバーシップ型と呼ばれ、企業の考えや思想に合致する人材を、会社を支える人材として長期的に育成する雇用形態のため、業務実施能力に加え人柄や将来性も採用基準となっている。また、業務は属人的に各従業員の適正に応じて割り当てられる。


部署異動や勤務地移動を通じて特定の企業内で多くの経験を積むことで、ジェネラリストを育成する雇用環境といえる。


他方で米国の雇用はジョブ型と呼ばれ、ポジションに対して企業が望むスキルのある人材を雇用(候補者も自分のスキルにあうポジションを探している企業を探す)する。業務も属人的に割り当てられるものではなく、ポションに応じて決められている。


個人もまた、より自分のスキルに合ったポジションがあれば転職を行いながら、スキルやコンペンセーション(給与を含む報酬)を伸ばしていくというジョブ・ホッピング文化が生まれている。


コロナ禍の中で日本の大手企業もジョブ型雇用にシフトという発表がある昨今だが、雇用前のレジュメの書き方からも日米での雇用に関する考え方がの違いが見て取れる。

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